「すごろくでnマス目に止まる確率」の版間の差分

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== n>=7 ==
== n>=7 ==
最後に出る目が1~6である場合があり、それぞれ1/6の確率で遷移することを考えると、
最初に出る目が1~6である場合があり、残りマス数でピッタリ止まる確率を考えると、


P(n)はP(n-6)からP(n-1)までの平均になる。
P(n)はP(n-6)からP(n-1)までの平均になる。
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P(1)からP(6)ではP(6)が最大値であり、それらの平均は最大値より大きくなることはないから、全てのマスの中で6番目のマスに止まる確率が最も大きい。
P(1)からP(6)ではP(6)が最大値であり、それらの平均は最大値より大きくなることはないから、全てのマスの中で6番目のマスに止まる確率が最も大きい。
== n→∞ ==
n<0でP(n)=0とすれば、下の漸化式がn>0で成立していることを確かめることができる。
<math>P(n) = \frac{1}{6} ( P(n-1) + P(n-2) + P(n-3) + P(n-4) + P(n-5) + P(n-6))</math>
行列で表示すると、
<math>\begin{pmatrix}
P(n) \\
P(n-1) \\
P(n-2) \\
P(n-3) \\
P(n-4) \\
P(n-5)
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
  \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} \\
  1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\
  0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\
  0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\
  0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\
  0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
P(n-1) \\
P(n-2) \\
P(n-3) \\
P(n-4) \\
P(n-5) \\
P(n-6)
\end{pmatrix}</math>
これを
<math>P_{n} = AP_{n-1}</math>
と書くことにすると、
<math>P_{n} = A^nP_{0}</math>
Aは対角化可能で、固有方程式は
<math>6\lambda^6 - \lambda^5 - \lambda^4 - \lambda^3 - \lambda^2 - \lambda -1 = 0</math>
<math>|\lambda| > 1</math> とすると <math>6|\lambda^6| > |\lambda^5| + |\lambda^4| + |\lambda^3| + |\lambda^2| + |\lambda| + |1| > |\lambda^5 + \lambda^4 + \lambda^3 + \lambda^2 + \lambda +1|</math>
したがって固有値はすべて1以下であり(実際にはひとつが1、他は1より小さい)、
<math>P_{n} = A^nP_{0}</math> は <math>n \rightarrow \infty</math> で収束する。
また、最初の漸化式においてnをnからn+6まで動かして足してみて整理することにより、
<math>6P(n+6) + 5P(n+5) + 4P(n+4) + 3P(n+3) + 2P(n+2)+ P(n+1) = 6P(n-1) + 5P(n-2) + 4P(n-3) + 3P(n-4) + 2P(n-5) + P(n-6) </math>
が得られる。<math>n=1 </math> で成立することを踏まえ、
極限値を <math>\alpha </math> として
<math>6\alpha + 5\alpha + 4\alpha + 3\alpha + 2\alpha + \alpha = 6 </math>
これを解いて
<math>\alpha = \frac{2}{7} </math>
== 背景 ==
[https://contents-abema.com/hololivegamersfes-2024/ 『超超超超ゲーマーズ』] DAY2の企画「超超超超ファンタイム!すごろくチャレンジ」にて、6マス目「前の人の誇張モノマネトーク」にフブちゃんとおかゆんが連続で止まったのを見て、すごろくには止まりやすいマスがあるのではないかと考えた。
なお、この企画においては2人が連続で6を出しており、ここでの計算はあまり関係なかった。
[[カテゴリ:数学]]

2024年7月10日 (水) 00:52時点における最新版

1~6の目が等確率で出るサイコロを使ったすごろくで、nマス目に止まる確率を計算する。

この確率をP(n)とする。

P(0)

スタート地点を0番目とし、P(0)=1とする。

P(1)

1回サイコロを振って1が出る確率であり、

P(1) = 1/6

P(2)

1回サイコロを振って2が出る、または2回連続で1が出る

P(2) = 1/6 + 1/36 = 7/36

P(3)

1回で3が出る、2回で(1,2),(2,1)、3回で(1,1,1)

P(3) = 1/6 + 2/36 + 1/216 = 49/216

P(4)

このあたりで、分母は6の累乗、分母は7の累乗になっていそうであることに気付く。

nマス目に到達するまでにサイコロを振る回数は、n回以下である。

n<=6のとき、

i回でちょうどnマス目に到達する場合の数は、n-1マスのうちサイコロを振るマスi-1個を選ぶという問題と考えることができ(1回目はスタートで振り、サイコロを振るのはn-1マス目以前である)、

[math]\displaystyle{ P(n) = \frac{1}{6} \sum_{i=1}^{n} {_{n-1} C _{i-1}} \left(\frac{1}{6}\right)^{i-1} }[/math]


二項定理を使って、

P(n) = 1/6 * (1+1/6) ^ (n-1)


P(4) = 343/1296

P(5)

P(5) = 2401/7776

P(6)

P(6) = 16807/46656

n>=7

最初に出る目が1~6である場合があり、残りマス数でピッタリ止まる確率を考えると、

P(n)はP(n-6)からP(n-1)までの平均になる。


P(1)からP(6)ではP(6)が最大値であり、それらの平均は最大値より大きくなることはないから、全てのマスの中で6番目のマスに止まる確率が最も大きい。

n→∞

n<0でP(n)=0とすれば、下の漸化式がn>0で成立していることを確かめることができる。

[math]\displaystyle{ P(n) = \frac{1}{6} ( P(n-1) + P(n-2) + P(n-3) + P(n-4) + P(n-5) + P(n-6)) }[/math]

行列で表示すると、

[math]\displaystyle{ \begin{pmatrix} P(n) \\ P(n-1) \\ P(n-2) \\ P(n-3) \\ P(n-4) \\ P(n-5) \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} & \frac{1}{6} \\ 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} P(n-1) \\ P(n-2) \\ P(n-3) \\ P(n-4) \\ P(n-5) \\ P(n-6) \end{pmatrix} }[/math]

これを

[math]\displaystyle{ P_{n} = AP_{n-1} }[/math]

と書くことにすると、

[math]\displaystyle{ P_{n} = A^nP_{0} }[/math]

Aは対角化可能で、固有方程式は

[math]\displaystyle{ 6\lambda^6 - \lambda^5 - \lambda^4 - \lambda^3 - \lambda^2 - \lambda -1 = 0 }[/math]

[math]\displaystyle{ |\lambda| \gt 1 }[/math] とすると [math]\displaystyle{ 6|\lambda^6| \gt |\lambda^5| + |\lambda^4| + |\lambda^3| + |\lambda^2| + |\lambda| + |1| \gt |\lambda^5 + \lambda^4 + \lambda^3 + \lambda^2 + \lambda +1| }[/math]

したがって固有値はすべて1以下であり(実際にはひとつが1、他は1より小さい)、

[math]\displaystyle{ P_{n} = A^nP_{0} }[/math][math]\displaystyle{ n \rightarrow \infty }[/math] で収束する。


また、最初の漸化式においてnをnからn+6まで動かして足してみて整理することにより、

[math]\displaystyle{ 6P(n+6) + 5P(n+5) + 4P(n+4) + 3P(n+3) + 2P(n+2)+ P(n+1) = 6P(n-1) + 5P(n-2) + 4P(n-3) + 3P(n-4) + 2P(n-5) + P(n-6) }[/math]

が得られる。[math]\displaystyle{ n=1 }[/math] で成立することを踏まえ、

極限値を [math]\displaystyle{ \alpha }[/math] として

[math]\displaystyle{ 6\alpha + 5\alpha + 4\alpha + 3\alpha + 2\alpha + \alpha = 6 }[/math]

これを解いて

[math]\displaystyle{ \alpha = \frac{2}{7} }[/math]

背景

『超超超超ゲーマーズ』 DAY2の企画「超超超超ファンタイム!すごろくチャレンジ」にて、6マス目「前の人の誇張モノマネトーク」にフブちゃんとおかゆんが連続で止まったのを見て、すごろくには止まりやすいマスがあるのではないかと考えた。

なお、この企画においては2人が連続で6を出しており、ここでの計算はあまり関係なかった。