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いわゆる待機列の理論
いわゆる待機列の理論
[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E8%A8%98%E5%8F%B7 ケンドールの記号 - Wikipedia]
== 入場待機列 ==
=== 列の伸び方について ===
単位時間あたり <math>\lambda(t)</math> 人が新たに列に並ぶとする。時刻<math>t</math>における列の長さを <math>L(t)</math> とする。
入場開始時刻(<math>t=0</math>とする)より前は列が伸びる一方なので、 <math>L(t) = \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt</math> である。
入場開始後、単位時間あたり <math>\mu</math> 人が入場できるとする。
このとき列の長さは
<math>
L(t) = \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt - \mu t
</math>
になるはずである。
=== 列が無くなる時刻について ===
<math>L(t) = 0</math> になっていれば並びなしで入れるわけだから、これは重要。
簡単のため、<math>t=0</math> より前に並んだ人数を <math>N</math> 人、その後は <math>\lambda(t) = \lambda</math>(一定)としてみると、
<math>
L(t) = N + \lambda t - \mu t
</math>
これが <math>0</math> になるのは
<math>
t = \frac{N}{\mu - \lambda}
</math>
=== 時間に間に合うように並びたい ===
時刻 <math>t_1</math> を目標に入場したい、というのはよくあるケースである。
この場合、自分の前に並んでいるのが(入場済みも含めて) <math>\mu t_1</math> 人以下であればよい。
(i) 入場開始前の場合、
<math>\int_{-\infty}^t\lambda(t)dt < \mu t_1</math>
(ii) 入場開始後の場合、<math>t=0</math> より前に並んだ人数を <math>N</math> 人、その後は <math>\lambda(t) = \lambda</math>(一定)としてみると、
<math>N + \lambda t < \mu t_1</math>
したがって
<math>
t < \frac{\mu t_1 - N}{\lambda}
</math>
=== 一定時間以上は待ちたくない ===
<math>T</math> より長い時間は待ちたくないとする。
その時点で前に居る人数が <math>\mu T</math>より少なければよいわけだから、
<math>
\int_{-\infty}^t\lambda(t)dt - \mu t < \mu T
</math>
<math>
\frac{\int_{-\infty}^t\lambda(t)dt}{\mu} - T < t
</math>


== 実際に行われている方策 ==
== 実際に行われている方策 ==
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=== フォーク並び ===
=== フォーク並び ===
全員が一列に並び、空いた所に入ることで、必ず先に並んだ人が先に利用することができる。
全員が一列に並び、空いた所に入ることで、必ず先に並んだ人が先に利用することができる。
トイレでも基本的にこの方式がとられているが、男子トイレでは小便器の列と個室の列がわかれておらず、ややこしいことになっている事例がしばしばある。
実際の運用では窓口の稼働率を最大化するため、各窓口の直前に列が形成され、数人ずつ待たせることもある。


=== 整理券 ===
=== 整理券 ===
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=== ファストチケット ===
=== ファストチケット ===
追加料金を支払う、特定のサービスを選択するなどで、一般とは別の列で優先的にサービスを受ける権利を得る方法。
追加料金を支払う、特定のサービスを選択するなどで、一般とは別の列で優先的にサービスを受ける権利を得る方法。
=== 列形成中断 ===
一時的に列形成を中断する方法。強制的ではあるが、列が長くなるのを防ぐことができる。

2026年3月31日 (火) 01:31時点における最新版

いわゆる待機列の理論


ケンドールの記号 - Wikipedia

入場待機列

列の伸び方について

単位時間あたり [math]\displaystyle{ \lambda(t) }[/math] 人が新たに列に並ぶとする。時刻[math]\displaystyle{ t }[/math]における列の長さを [math]\displaystyle{ L(t) }[/math] とする。

入場開始時刻([math]\displaystyle{ t=0 }[/math]とする)より前は列が伸びる一方なので、 [math]\displaystyle{ L(t) = \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt }[/math] である。

入場開始後、単位時間あたり [math]\displaystyle{ \mu }[/math] 人が入場できるとする。

このとき列の長さは

[math]\displaystyle{ L(t) = \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt - \mu t }[/math]

になるはずである。

列が無くなる時刻について

[math]\displaystyle{ L(t) = 0 }[/math] になっていれば並びなしで入れるわけだから、これは重要。

簡単のため、[math]\displaystyle{ t=0 }[/math] より前に並んだ人数を [math]\displaystyle{ N }[/math] 人、その後は [math]\displaystyle{ \lambda(t) = \lambda }[/math](一定)としてみると、

[math]\displaystyle{ L(t) = N + \lambda t - \mu t }[/math]

これが [math]\displaystyle{ 0 }[/math] になるのは

[math]\displaystyle{ t = \frac{N}{\mu - \lambda} }[/math]

時間に間に合うように並びたい

時刻 [math]\displaystyle{ t_1 }[/math] を目標に入場したい、というのはよくあるケースである。

この場合、自分の前に並んでいるのが(入場済みも含めて) [math]\displaystyle{ \mu t_1 }[/math] 人以下であればよい。

(i) 入場開始前の場合、

[math]\displaystyle{ \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt \lt \mu t_1 }[/math]

(ii) 入場開始後の場合、[math]\displaystyle{ t=0 }[/math] より前に並んだ人数を [math]\displaystyle{ N }[/math] 人、その後は [math]\displaystyle{ \lambda(t) = \lambda }[/math](一定)としてみると、

[math]\displaystyle{ N + \lambda t \lt \mu t_1 }[/math]

したがって

[math]\displaystyle{ t \lt \frac{\mu t_1 - N}{\lambda} }[/math]

一定時間以上は待ちたくない

[math]\displaystyle{ T }[/math] より長い時間は待ちたくないとする。

その時点で前に居る人数が [math]\displaystyle{ \mu T }[/math]より少なければよいわけだから、

[math]\displaystyle{ \int_{-\infty}^t\lambda(t)dt - \mu t \lt \mu T }[/math]

[math]\displaystyle{ \frac{\int_{-\infty}^t\lambda(t)dt}{\mu} - T \lt t }[/math]

実際に行われている方策

フォーク並び

全員が一列に並び、空いた所に入ることで、必ず先に並んだ人が先に利用することができる。

トイレでも基本的にこの方式がとられているが、男子トイレでは小便器の列と個室の列がわかれておらず、ややこしいことになっている事例がしばしばある。

実際の運用では窓口の稼働率を最大化するため、各窓口の直前に列が形成され、数人ずつ待たせることもある。

整理券

事前に整理券を発行し、番号順に入れる方法。

番号の呼び出し時間に到着すればよいため、待ち時間が短縮される。

番号が早ければ早く入場でき有利になる一方、ライブ等では入場後の待機時間が長くなる。

ファストチケット

追加料金を支払う、特定のサービスを選択するなどで、一般とは別の列で優先的にサービスを受ける権利を得る方法。

列形成中断

一時的に列形成を中断する方法。強制的ではあるが、列が長くなるのを防ぐことができる。